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2011年3月9日水曜日

中国工業製品が価格競争力が強い簡単な理由

中国製品が強いですね。
昨夜のWBSをBGMにしているのですが、液晶テレビで日本へ大攻勢。
大手メーカーより30%下げた価格で店頭に並べる。

ところで、中国製品が安いことについて昔から間違った理由が挙げられているのが気になります。
いわく、労働コストが安い。

本当にそうでしょうか。
一人当たりの人件費は異様にコスト高の日本に比べれば1/5~1/10かもしれません。
しかし、労働密度は御世辞にも高いとは言えない国民性、つまり見張っていなければサボる。
そして労働者の殆どは基本能力がかなり低い。

雇ってから使えるようにするまでの時間が非常にかかる。
使えるようになる頃には転職してしまいいつかない。
※一年いてくれるといいほうだったりしますね。

そのため一定水準の仕事をこなせるようになるまでのコストは日本など比較にならないほどかかるし、労働者としての歩留まりが劇的に悪いため、そこにかけたコストも回収困難です。
中国の安い労働力は単純労働、それも殆ど教育訓練のいらないものについては当てはまるかもしれませんが、一定の作業レベルが求められる工業製品、まして電子機器を作るには向かない労働市場です。見かけの平均賃金で比べられるほど安いとは言えません。

では、どこに強みがあるのか。
ひとつは第二次大戦敗戦後の日本語そうであったように、無差別な模倣による開発コストの超圧縮があります。これは大きいですね。
日本も実施してきましたが先行している国で疲弊した企業を格安で買収すれば模倣する必要性さえなく、何十年もかけて積み上げた技術とノウハウが入手できます。時間とコストを僅かな現金で買え、一気に競争力をつけられる。
対抗する日本では買うべき相手がもうあまり残っていませんし、いても非常に高価です。そういう方法で開発コストや基礎力を上げることができず、地道な自助努力しかないのでコストが果てしなく掛かる。

ノーベル賞を受賞した社員が出たと喜んでいますが、それだけの研究開発費とすぐには商品にならない基礎技術開発に莫大な時間とコストと設備と人的資源を投入してきた証でしかありません。

もうひとつ、もっと大きいのが同じく敗戦後の日本が大躍進したのと全く同じ理由であり、日本が勝ち目を失ってしまっている部分です。
日本は戦争中の米軍による無差別殺戮を目的とした空襲で生産設備の殆ども失いました。

東京始め主要都市は焼け野原です。

ある意味非常に不利ですが、戦争中に開花した新技術を商品化するには古い生産設備は向かず最新の設備を導入する必要があります。
欧米諸国は、日本がうけたような無差別殺戮は受けていないので設備もわりに残りました。

設備があるとそれを使うしかありません。
使っていると新設備に入れ替えることができません。

新設備に入れ替えるには場合によっては工場ごと廃棄し解体して更地にもどし、工場を建、生産設備を導入する必要があります。その間長期にわたり生産が停止しますが従業員への給与も支払わなければなりませんし税金も掛かり続けます。
支払いを行うためには休むこともままならず古い設備でできることを続けるしかありません。

今の中国は何も無いところで工業化が進んでいます。
不況の欧米各国や日本はこぞって最新設備を売り込んでいます。
山を切り崩して更地を作り工場を立て最新設備を格安に購入し、技術指導をうけつつ生産を開始します。最新設備は欧米や日本といった労働コストの高い国での利用が前提でしたから多くの場面で無人運転も可能です。そのため質の低い中国でも一部の高技能所有者だけで運転できてしまいます。

最新設備は低コストで24時間稼動し生産性そのものも高く、作られる製品の品質も高い。
例えば液晶テレビを作るならば液晶パネルが必要です。
古い工場で生産される液晶パネルはサイズが小さく歩留まりも悪い。
フル生産してもパネル一枚あたりの生産コストは割高です。
でも更新するには、今の工場を止められないし、今の設備も償却しなければならないシスティナくれはならない。大変なコストがいるし最新の設備を入れるには古い建屋では無理があり建物ごと壊して立て直す必要も出てきます。その費用はおいそれと捻出できず、数年間かかる解体から進行上建設期間も社員への報酬は必要です。しかも生産を止めればシェアーは低下するばかりです。

競争力という点で、まだほとんど何もなく、広大な砂漠を持つ中国は工場を新設するのも容易で放っておいても最新設備は売り込んでもらえます。
まだ設備がありませんから廃棄の心配もできるまでの給料の心配も不要です。
シェアーもまだ無いので失う心配もいりません。
新規建築なので壊す手間もなく早く出来上がります。

こうしてどんどん、競争力が圧倒的に高い工場ができ日本初め過去の遺産を引きずっている国々には勝ち目がない状態が続きます。

永遠につづくのかといえば、中国の優位性が続くのはおそらく数年、長くても10年は続かないでしょう。あっという間に最新設備で埋め尽くされますが、あっという間に時代遅れになります。
そのとき設備更新を経験していない中国は非常な困難に出会う。
対してもしもまだ経済的に生存が続いているなら、十二分に古くなりつくした向上は、アメリカの鉄鋼業が再生したように一気に破壊し再建できる時代を迎え、攻守逆転するでしょう。

それまで忍耐の時代が続き、状況はまだしばらく悪化し続けるでしょう。


もしも対抗するとすれば、一部の業界で行われているように吸収合併と大胆な工場の廃棄でしょう。
パナソニックがサンヨーを買収しながら次々にブランドを潰し再編していますが、工場も同様に再編できれば再生も近いでしょう。
似たような例は徐々に家電メーカー中心おきつつあります。

また一番難しい製鉄業界でも再編の動きが出てきました。
戦後の日本の通産省が行ったように政策面で後押しができれば、回復が加速されそうにも思えますが政治も役人も敗戦時代よりも方向性を失ってしまったようで、いつ再生に向かうのか見えないのが日本の弱点のようです。

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